IE終了問題への対策、戦略的に先延ばしする
前回のコラム「IE終了問題への対策、3つのオプション」では、Internet Explorer 11(以下IE)終了問題には3つの対策が考えられるという話を、WinActorを例にしながら説明しました。このコラムではUiPathにおけるIE終了問題への対策についても見ておこうと思います。
IE終了問題への対策、3つのオプション
基本的な考え方は同じです。
- IEをしばらく使う
- Edge IEモードで対応する
- ChromeやEdgeなどモダンブラウザに移行する
この3つのどれか、もしくは組み合わせになります。詳しくは前回のコラムをご覧ください。
2021年10月29日 IE終了問題への対策、3つのオプション
UiPath Browser Migration Tool
UiPathでは既存ワークフローをGoogle ChromeやMicrosoft Edgeなどモダンブラウザに対応させるための Browser Migration Tool が提供されています。これはChromeやEdgeなどIEから移行する先のブラウザでセレクターを再取得してくれる、マイグレーション作業の補助ツールになります。UiPathで操作するアプリケーション自体に修正がある場合や、ブラウザ標準UI(メニューやポップアップ)のセレクターを使っているワークフローではそのまま利用できませんが、今回のIE終了問題の移行負担を軽減にしてくれるツールになっています。詳しい使い方や利用に際しての注意点はUiPathのホームページでご確認ください。もしくは、当社までご相談ください。
2021年9月10日 Internet Explorerサポート終了に関するワークフローの移行について
敢えて「戦略的に先延ばし」する
IEの提供終了が2022年6月15日で、すぐにでも対応したいとお考えのみなさまも多いと思いますが、ここでは敢えて「戦略的な先延ばし」を提案したいと思います。
ワークフローの改修はIE終了問題だけで起きるわけではありません。ワークフローが操作するアプリケーション側の機能やUIが変更したタイミング、社内の業務フローが変更になったタイミングでもワークフローの修正は発生します。「せっかくIE終了問題が終わったのに、UIが変わってまた改修」ということがないようにしたいものです。
利用しているSaaSについては製品ロードマップを確認したり、いつ・どのようなバージョンアップが行われるか担当営業と日常的に会話しておいたりすると良いでしょう。ブラウザベースで作られている社内システムであれば、システムの改修計画があると思いますので把握しておくと良いと思います。なお、ワークフローは2つのシステムでデータを受け渡しするためにも使われます。この時は2つのシステムがともにIEモードで大丈夫なのか、どちらかがモダンブラウザしか受け付けない場合はどう対応するのかということも検討事項になります。これ以外にも、業務フローの変更、組織改編などもワークフロー改修のトリガーになります。
先ほど「戦略的な先延ばし」と書きましたが、これは、なんとなく面倒だから先に延ばすという話ではありません。また、無条件に後にすればするほどいいわけでもありません。今使えるリソース(人員や予算)、今後の予定や計画、業務影響などを総合的にみて、
- IE終了の対応は、予定されている他のシステム改修と同じタイミングで行える
- → 業務影響を考慮しても先で問題ない
- → なので今は改修しなくてもいい
- → 先延ばしでいい
という戦略的な判断になります。
また、各社が先に移行を済ませてくれれば、それだけ移行のノウハウも蓄積・共有されていきます。トラブルシューティングが容易になるという利点もあります。
ワークフロー改修計画は、IEの終了スケジュール、利用するSaaSや社内システムのIEモード対応有無、アプリケーションの機能やUIの改修計画、業務フローや組織改編といった複数パラメーターの最適化問題といえます。
最適なワークフロー改修計画を組みましょう。
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
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