業務改善は「What」が正しいと「How」も上手く進む
「What=何をやるか」と「How=どう実現するか」
一般論ですが、ものごとを進めるときに「What=何をやるか」と「How=どう実現するか」の2つに分けて考えることがあります。たとえば山登りをしたいと思った時のWhatは、富士山に登るのか、ハイキングコースになっている低い山に登るのかを決めるということです。Howは富士山に登るとしたらどのルートを通るのか、ということになります。
DXにも業務改善にも、この考え方は応用できて、業務のうち何が課題になっていて、何を改善する必要があるか明確にすることはWhatの話。その課題をどういう方法 ―RPAなのか、システム再構築なのか、マンパワーの投入なのか― で解決するか決めるのはHowの話になります。
Whatを明確にする手法(アプローチ)はいろいろあります。例えば、
- システム利用者からのヒアリング
- ドキュメントの調査
- システムログの分析
- アウトプットにあたるものの量や質の分析
- 実地で観察
などが挙げられます。ここではRPAにスコープを絞って、RPAで自動化する対象業務を洗い出すための簡単な方法(Whatの決め方)を紹介したいと思います。これはお客様ご自身でもできます。
RPAで自動化する対象業務を洗い出すための簡単な方法(Whatの決め方)
利用するのは、こちらのエクセルシートです。
エクセルは大きく4つのパートに分かれていて、右から「業務情報」「適合性判定」「不適合性判定」「判定結果サマリ」になります。業務内容やボリュームを「業務情報」に、その業務特性を「適合性判定」「不適合性判定」にインプットすると、その業務がRPA向きの業務かどうかが「判定結果サマリ」で示されます。
それぞれを詳しく見ていくと「業務情報」では候補になる業務の基本情報「部門・業務領域」「担当者」「業務名」「業務手順概要」「使用システム」と、ボリュームに関する情報「実施サイクル」「実行タイミング」「作業時間」「作業回数」「作業担当者数」を入力していきます。「月間作業時間」は前出の項目の掛け算で計算されます。また、その業務にどのような課題があるか、言い換えれば課題を解消する目的を「導入目的・課題」で選択します。
2つ目のパート「RPA適合性判定」は、その業務の特性から見てRPAに向いているかどうかを、3つ目のパート「RPA不適合性判定」は、その業務の特性から見てRPAに不向きかであるかどうかを判定するものです。該当する項目にチェックをつけていきます。「RPA不適合性判定」は注意が必要で、今は不向きでもテクノロジーが成熟すれば不適合要因ではなくなるという場合があります。「紙を使った業務」は以前は確かにRPAに不向きでしたが、今はAI-OCRと組み合わせるソリューションが提供されています。「リモート接続・仮想環境」も、リモートワーク環境が整備された企業だとRPAの不適合要因ではなくなっている可能性がありますし、ご利用のRPAツールによってもリモート接続・仮想環境で利用できるかが違ってきます。どういう要因がRPAに適合的か、もしくは不適合的かは、お客様の現状にあわせて、またその時に利用できるテクノロジーにあわせて都度、見直したい項目です。
4つ目のパートは、「業務情報」「RPA適合性判定」「RPA不適合性判定」の3つのパートから導出した「判定結果サマリ」です。その業務がRPA自動化に向いていれば、総合判定に”○”が付きますし、そうでなければ”×”がつきます。総合判定は、最初のふるい分けに使うといいでしょう。さらに”○”のついた業務の中で、着手する優先度をつけていきます。適合性判定のパーセンテージが高いものを優先するのがおすすめですが、「業務情報」の「月間作業時間(H)」を見ながらボリュームで優先順位をつけたり、「導入目的・課題」にある社員のストレス軽減を優先したりといったように、お客様の実情を考慮するといいでしょう。
こういったステップを経て「What」を導くことで業務改善を正しくスタートできます。そして経験則になりますが「What」が正しければ、それに続く「How」も上手く進むように思います。「What」を導く過程で、現状の課題、業務改善の目的や狙いなど前提条件が整理されることで、後々、プロジェクトが迷走することがないためだと思われます。
ご紹介したエクセルシートは、こちらからダウンロードできるのでご利用ください。
解説セミナーのご紹介
さて、いま紹介したエクセルシートで小規模な業務の「What=RPAの自動化対象業務」は分析できるのですが、改善範囲が全社にまたがったり、システムが複雑になったりすると別の手法が必要になります。CACとRPA NEXT社で、業務課題を明確化し業務改善の「What」を導いていく2つの手法の解説セミナーを開催します。キーワードは「集合知」と「プロセスマイニング・タスクマイニング」です。
DX、業務改善はどの企業でも行われていると思いますが、期待通りに進まない、効果が出ない、どうやって効果を出し続ければいいか分からないという声も数多聞こえてきます。そういう悩みへのヒントにもなるセミナーですので、ぜひ、ご参加ください。
https://cacrpa.com/seminar/2022-8-24-cac-rpanext-collaboration/
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
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