改めて問う「RPAでできること、できないこと」― 2023年バージョン
第1回「RPAとは?編」では、RPAプロジェクトに携わるメンバーがRPAをどういう存在として見ているのかを紹介しました。第2回は「RPAでできること、できないこと編」です。
RPAでできないこと
これまでのRPAプロジェクトで発見した「RPAで意外にできること」「意外にできないこと」を質問したところ、プロジェクト最前線にいるメンバーの切実でリアリティのある回答 ― 「意外にできないこと」の回答が多く寄せられました。
住所などサイトによって表記ゆれがあるものを扱うことに関しては、定型業務であっても自動化しにくいと感じました(例:サイトから取得した住所とシステム上の住所の突合等)。
処理時間が早い、といわれるが、、
バックグラウンド処理(Excelの読み込み、書き込みやAPI連携ができるものなど)はもちろん早いですが、画面操作(システム上の項目を一つずつ入力するなど、人間がやることそのままの作業)はあまり早くない。先走りしないなどの調整が必要になるため、精度や安定性を求めると処理速度は低下する。
条件分岐が複雑過ぎる場合や、目視で確認をして人の判断が必要なものがある。また、「クリック」一つにしても、使用しているシステムや開発環境等でRPAにさせる事ができない場合があり、絶対できるとは言えない難しさがある。
イレギュラー判断が必要な場合は対応できない。
Outlook on the webで、メール関連の部品は標準では用意されていないためブラウザ操作の専用部品でつくることになるが、入力欄クリアが専用部品では上手く動作しない。キー操作で全選択し削除する処理が必要
表示/非表示の状態判定が難しい
表示状態を確認するための部品はあるが(おそらくhidden属性のような)非表示の要素は表示されているものとして結果が返ってしまう
「できないこと」を並べましたが、できないものはワークフローを組み替えたり、代替ロジックを考えたりして、最終的にはニーズを満たすものにします。ただ、RPAは万能ではないこと、できないこともあって、それは知恵と工夫、場合によってはお客様の理解や協力があって初めて解決できることもあるとご理解いただければと思います。
たいへん僭越ですが、お客様との会話の中で、次のように感じることもあるようです。
RPA導入する経営層、業務改善の責任者にとって・・・
・リリースさえすれば、保守・運用コストはそれほどにかからないだろう
・ローコードツールのため、開発~リリースまで数日でできるだろう
(と誤解されてしまっている)
RPA自走する現場ユーザーにとって・・・
・現行の業務プロセスをそのままRPA化すれば効率化できるはず(業務手順そのものを見直しするという視点を持ちにくい)
・この前まで動作していたロボットはエラーが起こらないはず
・ロボットが正常終了したときは必ず、想定通りの結果になっているはず(例えばメール送付するロボットであれば、メール宛先やメール文面が誤っているような想定外の結果は起こりえない等)
・ロボットの中身を知らなくても問題ない
(と誤解されてしまっている)
RPAが得意としていないことについて、お客様にご理解いただくこと
繰り返しになりますが、RPAは強力であるものの万能ではないのです。
RPAでできること
「できること」の回答ももちろんあります。
パソコン上で人が日常的に行っているマウス操作やキーボード入力などの操作手順を記録し、それを高速で正確に実行することができる。
一般論として、RPAでリアルに出来る事としては、コピーペーストや入力作業を繰り返す業務かと思う。
ユニークな回答としては
意外にできること:RPAを使った業務自動化・改善では、皆おしなべて同じ過程を通ることから、お客様各自の置かれている、陥っている状況や悩み・課題について一定程度の推測ができること
RPAプロジェクトを多く経験しているが故の回答です。各企業の業務はそれぞれ異なりますが、業務を自動化・改善しようとする時の悩み・課題は似ています。これまでの経験を踏まえて、ご相談にのれますのでお問い合わせください。
他には、RPAツールの選び方でできることが変わってくるという回答もありました。
RPAツールと自動化したいシステムの相性と、そのお客様のRPA導入の方針によって、できる・できないが変わってくると思います。
例えば、Aツールを導入ご希望のお客様がいらっしゃいましたが、その社内で使われているシステムとAツールの相性が悪く、急遽Bツールに方針変更したことがありました。また、内製化を目指しているお客様が開発難易度の高いCツールを導入したため、内製化が想定通り進まなかった…など。
RPA化対象のシステムの相性がよく、社内方針に沿ったRPAツールを導入されているお客様の場合、RPAが浸透しやすくRPA開発者としても保守運用しやすいので、重要なポイントだなと常々思います。
第1回で、”自分たちにとって「RPAとは何なのか?」というしっかりしたスタンスを持つことが重要”と述べたことともつながりますが、何をしたいかでRPAツールを決めると良いと思います。とはいえ、何をしたいかは、RPAツールを使っているうちに変わっていきます(たいていは増えていきます)。一度、導入したRPAツールを入れ替えるのは大変ですが、「何をしたいか」ファーストで選びなおすという考え方もあります。
第2回「RPAでできること、できないこと」はこのへんで。第3回「RPAのこれから」に続きます。
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
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