コラム 「RPAの気になる話」

改めて問う「RPAのこれから」 ― 2023年バージョン

2023.11.09

2回「RPAでできること、できないこと編」では、RPAプロジェクトに携わるメンバーが現場で感じたRPAでできること、逆に、できないことを紹介しました。第3回はRPAのこれからについて考えてみたいと思います。

「AIによってRPAでできることはどんな風に変わるだろう?」「みんなの使い方はどう変わるだろう?」など、おおよそ3年後を目安にこうなるだろうな、なったらいいなを想像しながら回答してもらいました。

RPAでできることが増えて、もっと身近な存在になる

RPAに期待する回答が多く集まりました。AIを搭載するなど技術的に進化することで、RPAでできることが増え、その結果、より広く使われるようになると期待しているようです。

以前に比べると、RPAを利用している企業は増えてきていると思うが、まだ使用していない企業も多いので、3年後はもう少しRPAを活用する企業が増えるといいなと思う。

・定型業務など単純業務に関してRPAの活用は当たり前に進むのではないか。
・環境変更にも柔軟に対応可能なRPAが出てくることを期待したい。

もっと身近なソフトウェアになっていて市民開発ツールになっていると思う。

AIと協業することで「新入社員」から「中堅社員」に印象が変わるのでは?と思います。
これまでRPAはあくまでも先輩社員(RPA開発者)が教えたことしかこなせない「従順な新入社員」のイメージでした。昨今AIをRPAに組み込むことで非構造型のデータも扱えるようになったり、AIの信頼性が低いと判断すれば人に判断を仰ぐなど、より柔軟に処理ができるようになってきています。
「決められたことしかできない」イメージから「学習し、成長できる」といったイメージにRPAがステップアップし、より安心して任せられるお仕事が増えるのではないかと思います。

一人一ロボットとしてRPAが普及していって、朝のメールチェックのような感じで、まずはRPA正常に動いていたかな、結果はどうかなという確認が習慣化するかもしれない!

 

「市民開発(Citizen Development)」「新入社員から中堅社員」「一人一ロボット」といったワードが出てくるように、RPAを身近な存在として捉えている点も注目したいところです。

一方、できることが増えればリスクも生じるという回答もありました。

・RPAを悪用した不正アクセス/従業員による内部犯行等によるセキュリティ漏洩事故が起きるのではないか。

もちろん、いまでもワークフローの実行権限、そのワークフローがアクセスできる範囲、データの完全性などセキュリティのケアは行っていますが、RPAでできることが増えればリスクも高まることは心しておきたいポイントです。

RPAツールに対する見方が変わる

できることが増えて、より広く使われるようになり、もっと身近な存在になるとすると、良いRPAツールの定義も多様化しそうです。次のような回答がありました。

RPAツールの競争が、何ができるか、精度はどうか、値段は、という比べ方ではなく、市民開発したいなら○○だよね。システムとして集約管理するなら○○。といった選定になってくるのではないかなと思います。

RPAの開発の仕方が変わる

作り方が変わるという回答もありました。今のワークフロー開発は通常のシステム開発と同じで、お客様から業務をヒアリングし(ケースによって業務を見せてもらい)、それを開発ツールの上でワークフローとして組み上げていきます。開発ツール自体はGUIですが、人が考えマウスとキーボードを使って組み上げるという意味では、コーディングと大きくは変わりません。作り方が変わるという視点は、開発者ならではと言えます。

AIにより、実際の業務をAIに見せることである程度のワークフローが作成できるようになったり、適切な例外処理を組み込んでくれたりできるようになることで、より市民開発ツールとして普及していくと思います。

RPA自体にAI機能が組み込まれ簡単にロボットを開発できるようになる(以下イメージ)
【人】対話型インタフェースに以下のような必要情報を入力
・自動化したい業務とおおまかな手順
・利用システム
・インプット・アウトプットのイメージ、体裁
・例外ケース …等
【RPA】開発画面上に、最適な処理の流れで必要部品を並べ、対話型インタフェースを通して人に入力を求めながら、部品の詳細設定を行う

RPAが見たもの、聞いたものを自動的にワークフローとして組み上げる。ちょっとSFっぽいと思われるかもしれませんが、実は手の届くところまできています。ChatGPTがコード生成するのはよく知られた話ですが、UiPathにもAutoPilotという“Text-to-Workflow””Text-to-Expression”ができる機能があり、チャットによる対話でワークフローや処理コードを生成できます。最近のコンピュータビジョンや音声認識・理解・合成の技術進歩をみれば、ワークフローの作り方も、いまのGUI開発やコーディングのスタイルから、見せたり聞かせたりといったスタイルへと変化していく可能性があります。

自分たちの役割も変わる

RPAが変われば、自分たちの役割も変わるという回答もありました。技術革新によって人の仕事が良きにしろ悪しきにしろ影響を受けるのは歴史の必然ですが、悲観的な回答ではなく、むしろ技術革新を迎えて自分たちの役割を再自覚するといった内容になっています。

RPAがAIと良い関係を築けていけたら、出来ることが格段に増えてさらに需要が伸びると思います。しかし、「Garbage In, Garbage Out (ゴミを入れればゴミが出てくる)」という言葉があるように、AIを用いるという事は、RPAエンジニアはもちろんのこと導入先お客様もAIに関する知識や正しい教育方法、指示の出し方を知っている必要があると考えるので少しハードルは上がると感じます。

様々な機能や、他ツールとの連携がよりできるようになる一方で、そういった機能やツールを使いこなすためにRPAでの開発において専門性が増す可能性があると考えます。ただし、今後AIとの連携がより進むことにより、専門性が増した部分に関してはAIがその補助ができるようになることが理想となります。

2つ目の、RPAの専門性がより求められるようになるけど、AIに助けてもらいたいというのはクスッと笑える回答ですが、ここは重要だと思います。技術によって、人の役割がより人間的で高次なものに変わり、それを助けるために技術が更に進み、それによってまた人の役割が・・・(以下、繰り返し)
人と技術が良い共生関係を育めることを願ってやみません。

3回「RPAのこれから編」はこのへんで。第4回(最終回)は、当社エンジニアがRPA愛を語る「RPA推し♡編」です。

本記事のカテゴリ :RPA技術コラム

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