UiPathのモダンデザインを使ってみました(パート2)
前回のコラムに続き、UiPathでアップデートされたモダンデザインについて紹介します。今回も、皆さんと一緒にモダンデザインを学習していきたいと思います。UiPath Studioのバージョン21.10を使用しています。
前回はUiPath製品のおさらいやモダンデザインを紹介した後、モダンデザインとクラシックデザインでワークフロー作成方法がどう変わるかを比べてみました。「交通費精算」を題材にモダンデザインとクラシックデザインのワークフローを作成してみましたが、使用するアクティビティや作りの考え方に違いがあることがご理解いただけたのではないか思います。
前回のコラムをチェックしていない方は、ぜひ、ご覧ください。
https://cacrpa.com/column/2022-4-28-uipath-modern-design/
今回は、「交通費精算」ワークフローの中の交通費検索部分にフォーカスし、セレクターや要素に関連した操作を詳しく見ていきたいと思います。
出発地・到着地の入力エラーを解消する
Yahoo!乗換案内の入力フォームに、UiPathで、出発地・到着地を入力する操作です。この時、次のようなエラーが起きたり、挙動が安定しなかったりといったことがありがちです。
- 入力した値が欠けてしまう(例:「水天宮前」が「天宮前」など)
- 入力処理の空振り、そもそも入力できていない
- フォームの意図しない項目に入力されている
クラシックデザインでは、このようなエラーや挙動の不安定さを解消するため、入力後に入力した文字列が正しいかどうかを判断させるロジックを組み込みました。
- 文字列を入力
- 入力されたテキストを取得
- 正しく入力されているかどうかで条件分岐
- リトライスコープで制御
モダンデザインでは、「文字を入力」アクティビティのプロパティで実行した結果の検証ができるようになっています。
- プロパティ「実行を検証」に”VerifyExecutionTypeInfoOptions”を設定する
このプロパティを設定することで、実行中、何らかの理由でカーソルが動いてしまったり、入力しようとしている文字列が欠けてしまったりすると、リトライが自動で行われるようになります。クラシックデザインでは自分で組み込んでいたロジックをUiPath側が引き受けてくれるようになったともいえるので、ワークフローもシンプルにでき、開発効率も上がりそうです。
確実に最安値が表示されてから次の処理を行う
UiPathによる画面遷移でも、エラーが起きたり、挙動が安定しなかったりということが起きます。
- 次画面が表示される前に次のアクティビティが実行される
- 画面遷移の処理自体が空振りする
クラシックデザインでは、次画面の要素を確認して、画面が遷移しているかどうかを判断するロジックを組み込んでいました。
- 次画面にあるはずの要素の存在を確認する
- 正しく遷移しているかどうかで条件分岐する
もしくは、確実に画面遷移が終了するよう、余裕を持たせた待機時間を設定する方法もあります。
- 次の処理に進む前に「待機」する
モダンデザインでは「アプリのステートを確認」という、状態(ステート)を確認し、処理を分岐させるまでの流れが一体化したアクティビティが用意されています。ターゲットとなる要素が出現しているか(もしくは消滅しているか)の状態をUiPath側が判断してくれるというものです。クラシックデザインの「要素の存在を確認」「要素が出現したとき」「要素が消滅したとき」「要素の消滅を待つ」、これらのアクティビティを1つのアクティビティにしてくれたものが「アプリのステートを確認」アクティビティと言えます。
- アプリのステートを確認
今回のコラムでは、セレクターや要素の取得を中心にモダンデザインを紹介しましたが、今後、クラシックデザインよりモダンデザインが主流となっていくのかどうかも含め、引き続き皆さんにモダンデザイン情報をお届けしようと思っています。
最後に宣伝ぽくなりますが、CACでは開発規約やテンプレートをもとにした品質重視のRPA開発サービスを行っています。モダンデザインに関することはもちろん、UiPathやWinActorの開発に課題をお持ちのお客様は、ぜひ一度、ご相談ください。
このコラムの執筆者
株式会社シーエーシー
アドバンスドテクノロジー本部
森永 和花
入社以来、RPAの開発・保守を担当しています。RPAが初めての方はもちろん、今、運用中のお悩みをお持ちのお客様と一緒に、RPAを着実に進めていけるよう、日々業務に取り組んでいます。
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
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