コラム 「RPAの気になる話」

RPAとAIの違い~連携が生み出す将来への期待

2024.04.01

人手不足や働き方改革、DX推進など、企業は業務効率化の必要性に直面しています。そうした中、活用が進んでいるのがRPAやAIです。どちらもコンピュータが人間の業務を代替できるものですが、異なる点があります。またそれぞれの特性をうまく組み合わせることで、さらに業務効率化や生産性向上につなげている事例もあります。
今回は、RPAをこれから導入しようとお考えの方向けに、RPAがどう業務を効率化するかを、同じく業務を効率化するものとして注目されるAIとの違いや組み合わせるメリット、組み合わせることで成功した事例とともにご紹介します。

RPAとは?

まずはRPAの特徴を確認しておきましょう。

RPAとは

RPAは「Robotic Process Automation」の頭文字を取った言葉で、ソフトウェアロボットによる業務自動化を意味します。

RPAツールにPC上でのルーチンワーク、つまり繰り返し行う定型的な作業内容をあらかじめ設定しておくことで、自動的に作業を実行します。
RPAは、ルーチンワークに向いていることから、主にPCを利用するバックオフィス業務やホワイトカラー業務を自動化するのに利用されています。

RPAでできることと具体例

RPAを利用すれば、例えば次のことが可能になります。

〇データを抜き出して登録・集約する
RPAは必要なデータを抜き出してシステムに登録し、集計するなどして一つのファイルにまとめることができます。あらかじめ抜き出すデータや登録先、集計方法を設定しておけば、完全に作業を自動化可能です。
例えば毎日の売上の日次レポートを提出する必要がある場合に、売上実績をシステムから抽出し、日次レポートファイルに自動入力して作成することができます。

〇数値を照合する
目視では手間がかかる上に見落としや計算ミスが生じる数値照合の作業もRPAなら容易に行えます。数値の間違いが許されない会計処理における数値照合などに有用です。

〇情報収集
指定の範囲やキーワードに基づいて情報収集し、情報を一箇所にまとめることもできます。例えばインターネット上の自社商品にまつわる口コミや競合他社の情報を収集するのに役立ちます。

〇メール配信
従業員や採用応募者などに、一定のタイミングで案内メールを送信することがありますが、これもRPAが担うことができます。例えば、従業員が会社に提出する必要書類の期限を設けている場合に、期限を過ぎたら書類未提出者宛てにメールを自動送信する仕組みを作るといったことが可能になります。

AIとの違い

近年、人間の作業を代替するものとして、RPAの他にAIも活用されています。AIとRPAとはどう違うのでしょうか。

AIとは?

AIは「Artificial Intelligence」の頭文字を取ったもので、日本語で「人工知能」と訳されます。AIは人間の脳の働きを模倣し、自律的に物事を判断するソフトウェアです。
AIに膨大なデータを与えることでそれらの法則性を見出し、データを処理するときの判断基準を学習します。AIはデータを処理する際に大量のデータを組み合わせ、紐づけて分析することができます。
特定タスクの判断基準と多くのデータを与えることで、タスクを処理する際の判断基準をソフトウェアが学習し、同様なタスクでそれを再現する「機械学習」や、判断基準になる特徴データ自体をソフトウェアが定義する「深層学習(ディープラーニング)」などの手法が用いられます。

RPAとAIの違い

RPAとAIはどのような点で異なるのでしょうか。主な3つの違いを見ていきましょう。

〇ロボットか知能か
RPAは作業を行うロボット技術であり、AIは人工知能と訳されるように、あくまで知能に位置付けられる技術です。よってAIが何かロボットのように作業を行わせる際には、AIとロボットを組み合わせる必要があります。

〇自律的に判断するか
RPAは人間による指示や設定したルールに沿ってのみ動作し、自ら判断して作業を実行することはありません。一方、AIは学習したことをもとに自律的に判断します。

〇自律的に学習するか
RPAは人間による指示や設定によってのみ動作するため、自ら物事を学習することはありません。「過去にこなしたことがある作業だからより効率的に作業できる」ということや「より応用して発展させられる」といったことはできません。一方で、AIは自律的に学習するため、処理精度を高めることが可能です。

RPAとAIを組み合わせるメリット

RPAとはAIは違うものですが、組み合わせることができます。組み合わせることで、より高度かつメリットのある活用が可能になります。

RPAのクラス分類

RPAは対応できる自動化レベルにより、3つのクラスに分類されていますが、クラス2と3にはAIを搭載することが想定されています。

クラス1
RPA(Robotic Process Automation)
RPA単独で利用する方法です。データ入力や情報収集などの定型業務を自動化します。

クラス2
EPA(Enhanced Process Automation)
RPAとAIを組み合わせて非定型業務を自動化します。AIの分析機能を利用した画像・音声解析や自然言語解析、未処理の非構造化データの読み取りなどを自動化します。

クラス3
CA(Cognitive Automation)
RPAとAIを組み合わせ、高度なAI技術により処理を行うことができます。プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化します。

組み合わせるメリット

RPAとAIを組み合わせることで、定型業務の自動化だけでなく、AIによって自ら状況を分析し、随時生じる課題に対して最適な処理を行うことができます。よって対応できる業務の範囲が広がり、人間の介在が不要になるシーンが増えます。
その結果、業務の時短化や効率化による生産性向上や省人化による人手不足への対応、煩雑業務をスムーズにこなせるようになるなどの効果が期待できます。

RPAとAI組み合わせて成功した事例2選

RPAとAIを組み合わせて成果を挙げた事例を2つ紹介します。

RPA×AI-OCR 自治体
ある自治体は、数千から数万件あるふるさと納税の申請書やアンケート結果などの紙帳票の処理に負荷がかかっており、電子化する必要性を感じていました。そこでRPAとAI-OCRを組み合わせた仕組みを導入しました。
はじめに紙帳票をスキャンした後、AI-OCRで読み取り、その結果をRPAで自動入力した後にシステムに送ります。ただ紙帳票を電子化しただけでなく、システムに投入する処理業務の自動化を行ったことで 作業時間が約10時間に短縮されました。

RPA×AIチャットボット 保険会社
ある保険会社は、RPAとAIチャットボットを組み合わせることで、水災に関する保険支払い手続きを効率化する試みを行いました。顧客からのAIチャットボットからのデータによる水災被害状況の申告を受け、保険金の自動算定プログラムに流し込むことで、保険金算定の自動化を行いました。これにより保険金支払いを、導入前より 、3割の業務効率化につながりました。

まとめ

RPAとAIの違いや双方を組み合わせることのメリットや事例をご紹介しました。それぞれの特性を組み合わせることで、業務効率化や省人化が実現します。導入をご検討の際には、ぜひ参考にしてみてください。

 

本記事のカテゴリ :RPA技術コラム

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