コラム 「RPAの気になる話」

2024年のRPA ― これまでのRPAからこれからのRPAを見通す

2024.01.18

2024年がスタートしました。2023年は世界的にAIに注目が集まった年でしたが、同時に企業へのAI導入も模索されました。生産性 ― 業務の自動化や改善にAIが寄与することは多く、また今後も増えていくと思われます。

RPAもAIの恩恵を受けますが、2024年以降、RPAによる業務の自動化や改善がどう進むかを見通すにあたって、これまでRPAがどのように業務の自動化や改善を実現してきたかを振り返ってみようと思います。
当社のお客様の声、Web上の各種記事やリサーチファーム等の発表資料、RPAツールベンダーの動向等を総合すると、1つのタスクをRPAで自動化することは既にやり切っていて、複数のタスクが連続する「プロセスの自動化」と情報システム部のツールというより「全社的な生産性向上ツールとしての定着」の2つが現在進行形で進んでいるように思われます。

これをチャートに整理して詳しく見てみましょう。
縦はシンプルなタスクか、複数のタスクが連続するプロセスか。横は定義できる業務か、そうでないか。これは言い換えるとIT部門がサポートしてシステム化できるか、個人の柔軟なワークがむしろ効率的なのかを意味しています。

 


過去: 定型・繰り返し・大量処理

RPAは国内では2018年頃、右下エリア(チャート内の①)から始まりました。右下エリアは定義されたタスクで、定型・繰り返し・大量処理が該当します。「メガバンクがRPAを導入し○○万時間の事務作業を削減」といった事例とRPAの分かりやすい効果に注目が集まりました。人手不足の問題、働き方改革がクローズアップされたこともRPAへの期待を大きくしました。

大手企業を中心に右下エリアでRPAの導入が進みましたが誤算もありました。ほどなくして、定型・繰り返し・大量処理はそれほど多くないことが分かりました。定型処理のように見えて実際はイレギュラー対応が多い業務や、大量処理でも年1回でしかも毎年少しずつやり方が変わったりする業務の方が多く、定型・繰り返し・大量処理の方がレアだったということです。

現在: 業務プロセスの統合

そこからRPAは2つの方向に進化しました。1つは右上エリアに伸びる矢印。複数のタスクの連続である企業の業務プロセスを自動化しようとするアプローチです(チャート内の右上②)。「ハイパーオートメーション」「エンド・ツー・エンド(End-to-End)の「プロセスの統合」といったワードがRPAとともに語られるようになります。具体的にはRPAAI-OCRの統合、画面スクレイピングではなくAPIによる対象システムとのやり取り、プロセスマイニングツールによる業務プロセスの可視化と分析などが行われるようになりました。これは現在進行中のトレンドと言えます。

現在: 市民開発

もう1つは左下エリアに伸びる矢印。事前に定義できない業務はIT部門からするとシステム化を敬遠しがちですが、現場では判断・定義できているはずなので、現場でRPAを使いこなせれば現場の生産性を上げられるという考え方です(チャート内の中央下の②)。RPAツールの方も現場、つまりIT担当者やエンジニアでなくても使いやすいように、よりユーザーフレンドリーでシンプルになる傾向があります。「RPAのローコード開発」「市民開発」と呼ばれるものです。

UiPathは旗艦プロダクトのUiPath Studioの他に、ユーザーインタフェースを簡単にし、プログラミングを始めたばかりの人がつまずきがちな「変数」を意識しなくていいStudioXをリリースしています。また、2023年には業務要件を自然言語(チャット)で入力するとワークフローのひな型を作ってくれる機能や、AI-OCRUiPath Document UnderstandingクリップボードAIでドキュメント関連処理を簡単にしてくれる機能が搭載された「UiPath Autopilot」を発表しました。。WinActorでも少し複雑なちょっとした処理をシナリオに簡単に組み込めるようにするライブラリ「プチライブラリ」が提供されています。

これから: AIアシスタント

そして2024年は、2023年のLLMや生成AIのトレンドを引き継いで、もう1つの業務自動化・改善のアプローチであるAIアシスタントの導入が本格的に始まりそうです(チャート内の左下③)。メールを書いたり報告書をまとめたりする業務は、手順が事前に定義できない業務であり、プロセスというより都度発生するタスクですが、ホワイトカラーのかなりの時間はこういったタスクに割かれています(このコラムを書いている時間もここに該当しています)。

AI
アシスタントはユーザが取り組もうとするタスクにあわせて文書のチェックやサジェスト、計算、グラフ作成等を行うことでユーザを助け、生産性を上げてくれます。
マイクロソフトがWindowsOfficeに組み込む生成AI機能「Copilot」が代表的なAIアシスタントですが、具体的に何ができるかは徐々に判明していくので注目したいと思います。

***

まとめ

RPAによる業務の自動化・改善は、定型・繰り返し・大量処理から始まって、業務プロセスを自動化しようとするアプローチ、業務担当者自身がRPA開発を行う市民開発のアプローチが加わりました。さらに個人ワークの生産性をあげるAIアシスタントも登場します。

業務の自動化・改善は一様でなく様々なアプローチがあるので、貴社の課題やニーズ、IT予算や人員の状況をもとにベストなアプローチを採用するとよいでしょう。もしお悩みであれば、当社にご相談ください。

本記事のカテゴリ :RPA技術コラム

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