コラム 「RPAの気になる話」

医療事務の現場 事務でRPAが求められる背景から対象業務、メリット、事例まで一挙解説!

2024.05.08

昨今、医療現場では、高齢化に伴う医療ニーズ増大や人手不足、働き方改革などの背景から業務効率化の推進が求められています。そのような中、医療事務の効率化のためにRPAを導入し効果をあげている病院や施設も多くあります。そこで今回は、これからRPAを導入しようとお考えの方向けに、医療事務を例にRPAの導入背景、RPA対象業務、得られた効果やメリットをご紹介します。

医療事務の現場でRPAが求められる背景とは?

近年、様々な業種や医療事務の現場でRPAの導入活用が進んでいます。RPAとは、「Robotic Process Automation」の頭文字を取った言葉で、ソフトウェアロボットによる業務自動化を意味します。RPAによって定型業務の自動化を進めることができます。
医療事務の現場でRPAが求められる背景として次のことが挙げられます。

人材不足

多くの業界で少子高齢化による労働力不足が叫ばれていますが、医療業界においても例外ではありません。特に医療・介護ニーズの増大に伴い、医療機関の負担はますます高まっています。医師や看護師はもちろんのこと、医療事務の作業についても業務負荷が高く、限られた時間内に効率的に業務を進める必要があります。

紙の利用やデータ入力など非効率な事務作業の存在

医療事務の現場では、 紙書類からシステムへのデータ入力が手作業で行われているケースもあり、これらの業務を自動化することは喫緊の課題といえます。

長時間労働の是正・働き方改革

医療現場では医師や看護師の長時間労働が問題視されています。医療事務についても時期によって残業が避けられないピークがあったり、業務負荷の高止まりで長時間労働が慢性化してしまったりということがあります。働き方改革が推進される中で、いかに効率的に業務を進めていくかが問われています。

医療DXの推進

医療においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。DXのステップとして、まずペーパーレス化・デジタル化から始まり、業務プロセスの見直し、さらに業務改善・業務改革を組織全体で推進していきます。 業務の自動化やデータ活用基盤の構築が求められている場面でRPAは大いに役立ちます。

医療事務の現場においてRPAを活用できる業務

医療事務の現場においてRPAを活用できる業務を見ていきましょう。

電子カルテや問診表データの入力チェックや集計業務

医療事務の現場において、紙のカルテや問診票を電子化する動きがありますが、ただ電子化するだけでなく、RPAを導入すれば入力のチェックや集計作業の自動化を実現できます。

レセプト(診療報酬明細書)のデータ入力・確認

組合健保や協会けんぽ、市区町村などの健康保険の保険者に診療報酬を請求するレセプト(診療報酬明細書)業務は、医療事務の中でも特に重要な業務です。多くの医療機関ではレセプトが電子化されていますが、そのレセプト電子データを請求システムに転記する業務は手入力されているケースも多々あります。その手作業をRPAに代替し、同時に誤りの自動検出も実装することで、自動化・効率化が可能になります。

検査結果の入力・確認

バイタル測定や各種検査機器から取得できる検査結果データをRPAによって他のシステムと連携させることで、システムをまたぐ際の手入力や確認作業を代替できます。

入院期間の管理や報告などの定型業務

入院にまつわる業務の中には、管理や報告のための定型業務がありますが、これらをRPAで自動化することで病床管理業務の最適化につながります。

診療予約の管理

電話による予約システムとWebからの予約受付データを連携させることで、常に予約情報が一元管理された状態となり、予約状況の可視化ができるようになります。予約の重複や転記ミスなども削減されます。

勤怠管理

勤怠管理業務の自動化も可能です。職員の出退勤データから長時間労働の勤務者をRPAで自動抽出しアラートを出すといった、長時間労働是正のための仕組み作りも可能です。

経理業務

医療事務の現場に限らず、進んでいるのが経理業務のRPA化です。例えば数多くの伝票をデータ化し、RPAで読み取って経理システムへの入力から書類作成までを自動化することができます。

医療事務の現場におけるRPA活用メリット・効果

医療事務の現場において、RPAを活用することにより、次のようなメリットや効果が期待できます。

患者さんへの対応がスピードアップ・効率化

事務作業が自動化すれば担当者が長時間パソコン作業を行う必要がなくなるため、患者さんへの窓口対応に時間が取りやすくなります。また、患者さんに必要な書類処理などがスムーズかつスピーディーに進むことで、患者さんの待機時間も削減できるでしょう。

事務作業の効率化による生産性向上・長時間労働是正

作業の効率化により、医療事務の生産性の向上や長時間労働の是正につながります。慢性的な人手不足の中でこれらの課題が解決に向かう可能性があることは大きな効果といえます。

管理・チェック業務の適正化・ミス軽減

手作業はヒューマンエラーや担当者による業務品質の差がつきまといます。一方で、RPAによる自動化はヒューマンエラーや業務品質の差の削減につながります。RPAによって管理・チェック業務が適正化される可能性があります。

高付加価値業務への注力が可能

RPAにより、より付加価値のある業務へと注力していくことが可能になります。データの手入力による転記にばかり時間をとられていては、肝心の業務にかける時間が限られてしまいます。RPAで自動化できるところは自動化することで、重要な業務へ時間を割り当てることが可能になります。

医療事務の現場におけるRPA活用事例

医療事務の現場におけるRPA活用事例を紹介します。

システム間の連携など複数RPAで作業時間を大幅に削減

ある大学医学部附属病院ではDXを推進しており、RPAの導入推進室を設けて導入を進めています。すでに30種類もの業務をRPA化しており、例えば、電子カルテコードと医事コードを紐づけるRPAや、受発注管理システムと財務会計システムを連携するRPAなどを開発しており、一年間で通算6,000時間程度の事務作業の削減を実現しています。

診療終了後の夜間データ転記作業を削減

ある地方の病院は、働き方改革の推進を行っている中、医療システム間の連携がされておらず、転記作業の煩雑さや作業の非効率さに課題を感じていました。そこで一部の業務をRPA化しました。文書管理システムから手術部門システムへのデータ連携を行う仕組みで、職員が4時間かけて夜間に転記していた業務をRPAが代替し、夜間にRPAが転記を完了させることで、翌朝、職員が転記処理の実行結果をチェックすれば良いだけとなりました。

 

煩雑な転記作業が自動化され、年間で960時間の業務時間の削減につながりました。結果、職員の長時間労働も減り、働き方改革も進みました。

 

まとめ

医療事務の現場におけるRPA化の必要性やメリット、事例などをご紹介しました。医療事務に関わらず、紙の書類や伝票が多い業務では、RPAを導入することで、さまざまな課題解決につながると考えられます。

CACでは医療機関・病院向けのRPA化サービスも行っています。ある総合病院では、医療事務スタッフ向けに、スタッフ自らが業務をRPA化できる研修プログラム「RPA自社開発イネーブルメントプログラム」を提供させていただきました。忙しい医療事務スタッフの方も参加しやすいよう柔軟にカリキュラムを組み、自身で業務をRPA化するという成果につながっています。いくつかの病院で同様な研修プログラムを行っています。

CACは医療事務システム・業務のRPA開発もできますし、医療現場のみなさま自身がRPAの開発と業務の自動化ができるよう(内製化できるよう)研修を通じて伴走することもできます。医療事務のRPA化であれば、お気軽にご相談下さい。

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本記事のカテゴリ :RPA技術コラム

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