WinActor Storyboardで作ってみました ー RPAノーコード開発ガイド
今回のコラムでは、WinActor Version 7.2.0から追加されたWinActor Storyboard(以下 Storyboard)について説明していきます。
Storyboardは初心者向け開発ツール(いわゆるノーコード、ローコード開発ツール)で、通常のWinActorに同梱されており新たなライセンスは不要です。ただし、WinActorと同時に起動することはできません。
WinActorではノードやライブラリを組み合わせてシナリオを作成しますが、Storyboardでは作業単位ごとに用意された「シナリオポッド」を並べることで、シナリオ作成することができます。作成されたシナリオは従来のフローチャート形式に変換することが可能です。
特に以下の3点は、プログラミング経験のない方にも、より分かりやすくなったのではないかと思います。
- 「変数」を意識せずにシナリオ作成ができる
- 部品となる「シナリオポッド」の表記がこれまで以上に親切
- 作成中にエラー通知で設定不備を知らせてくれる
シナリオ作成を難しく感じてさせていたプログラミング的要素が少なくなっています。
実際に作成してみる
では実際に作成してみましょう。経費精算処理をイメージしてもらうといいのですが、Excelデータを1行ずつ読み取り、Webサイト(この例ではジョルダン経路検索)で金額を取得し、結果をExcelに設定してみようと思います。
ここからはステップ・バイ・ステップで説明するので、スライドショーをご覧下さい。
作ってみた所感
確かに、プログラミング要素が極力抑えられていると感じました。変数が存在しないという点がその最たるところで、当然、ファイルのフルパスなども直接、値を設定します。ですが、その値を以降のボットでプルダウンリストに表示して選ぶだけにしているのは工夫されていると思いました(作成ステップ 4)。
「変数の扱いが難しいという初心者の方でも、なんとなく作成できます」という紹介が当たっており、単純な業務であれば、簡単に作成できるというのは確かにその通りです。ただ、Storyboardは、向く処理をかなり選びそうです。Storyboardで作れるように、ファイルやデータを整理し、業務環境をデジタル化しておくという前提が必要だと思います。
使ってみて、Storyboardが良いなと感じた点を挙げておきます。
- WinActorに同梱であり別ライセンスが不要である
- XPath値の取得がとても簡単で分かりやすい
- 作成中に設定エラーを教えてくれる
- 使用するボットが少ないというのは、逆に迷わず選べるということになる
- ひとつひとつのボットが何をするのか表記がわかりやすい
- 作成後のシナリオは拡張子wsbだが、通常のシナリオファイルumsに変換可能なので、ざっくり組み立てて詳細は通常のWinActorで、という使い方もできそう
- ログ出力のオプションが用意されていて簡単にファイル出力できる
逆に、とまどったところも挙げておきます。
- ボットの種類が少ない(迷わず選べる良い点にもなります)
- 自動記録が用意されていない
- 変数がないため使用する直前に値の取得処理が必須になる。通常のプログラミングに慣れているととまどいそう。
- ボット選択リスト上の名前と配置したときの名前が違っている(例えば、Excelの「8 縦方向繰り返し中の値取得」は、配置すると「縦方向に繰り返し、Excelファイルへ値を設定します」と表示される)
- 実行時のエラー表示が、やや分かりにくい。
今後、改善される項目もあると思うので期待したいと思います。WinActorは一つのライセンスで、プログラミング経験のない方向けのStoryboard、通常のWinActor、今回は触れませんでしたがテキストエディタを使ったシナリオ開発ができるWinActor Scenario Scriptが用意されています。スキルレベルに応じて開発ツールがラインナップされている点も興味深いです。
今回はStoryboardを紹介しましたが、また、いろいろなRPAツールの「作ってみた」レポートをご紹介できればと思います。
このコラムの執筆者
株式会社シーエーシー
アドバンスドテクノロジー本部
佐藤 栄恵
長らく汎用系(メインフレーム)でCOBOL、PL-I、Delphiなどの開発を担当してましたが、いきなりの方向転換でRPAチームに参加しました。現在は顧客の管理管掌部門での業務改善の一環としてWinActor、Amazon WorkSpaces、WinActor Manager On Cloud(MoC)周りの設定・管理を行いつつ、ユーザ研修からシナリオ作成、MoCでのスケジュール実施のお手伝いをしております。
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
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