コラム 「RPAの気になる話」

UiPathのモダンデザインを使ってみました(パート1)

2022.04.28

 今回はUiPathでアップデートされたモダンデザインについてご紹介します。まだまだ私も使い慣れていない機能ですが、皆さんと一緒に学習してみたいと思います。
UiPath Studioバージョン21.10を使用しています

 開発フェーズで用意されているUiPath製品は3つあります。

  1. UiPath StudioX 
    ビジネスユーザ向け。変数、データ型や.NET メソッドなどの概念も分かりやすくなっており、初心者にもとっつきやすさがあります。
  2. UiPath Studio 
    開発者向け。フレームワークの利用や例外処理も扱いやすく、シンプルな作業から複雑な業務まで、多様なタイプのワークフローを開発が可能です。UiPath Studioでは、モダンとクラシックの2つのデザインがあり、選ぶことができます。(詳細は後述)
  3. UiPath Studio Pro 
    上級開発者向け。高度な開発に加え、ソフトウェアテストに特化したTest Suite製品との連携ができます。


画像は https://www.uipath.com/ja/product/studioより

モダンデザインへの切替

 今回はUiPath Studioの従来のクラシックデザインとモダンデザインを比較をしながら開発がどう変わるかをご紹介します。現在クラシックデザインを使用している場合の、モダンデザインへの切替方法は、次の手順で行えます。

  • ファイルを分析>ワークフローアナライザーの設定>タブから「全般」を選択
  • モダンデザインエクスペリエンスをオンにする

クラシックデザインとモダンデザインの比較

開発するのは、「交通費精算」ワークフローです。

処理概要

実装したワークフロー
左側がクラシックデザインで作ったワークフロー、右側がモダンデザインです。​

クラシックデザイン モダンデザイン

Excelアプリケーションスコープ
ブックパス:Ctrl+Kで変数新規作成
「インプットファイル」
※「インプットファイル」にはフルパスを入れる
Excelファイルを使用
Excelファイル:フルパス指定
※「参照先」が自動で生成されて変数のように利用可能
繰り返し(Excelの各行)
対象範囲:シート名

範囲を読み込み
シート名: “交通費申請”
データテーブル:Ctrl+Kで変数新規作成
「Tbl_交通費申請」

文字を入力
テキスト:“出発地”を入力するだけで自動生成
CurrentRow.ByField(“出発地”)

ブラウザーを開く
URL: “https://transit.yahoo.co.jp/”
ブラウザーの種類:Microsoft Edge

テキストを取得
保存先:“金額_Yahoo”を入力するだけで自動生成
CurrentRow.ByField(“金額_Yahoo”)

繰り返し(データテーブルの各行)
データテーブル:No.4で作成の変数「Tbl_交通費申請」
文字を入力
テキスト:CurrentRow(“ヘッダ名”).ToString
ヘッダ名列の各行の値を呼び出して入力

テキストを取得
値:Ctrl+Kで変数新規作成「最安値」
代入
左辺値:CurrentRow(“金額_Yahoo”).ToString
右辺値:上記で作成の変数「最安値」

範囲に書き込み
ヘッダを追加:チェック入れる
データテーブル:No.4で作成の変数
「Tbl_交通費申請」

使用したアクティビティを一覧にしてみると、次のようになります。

クラシックデザイン モダンデザイン

① 駅名の書かれたExcelファイルを読み込み

Excelアプリケーションスコープ
範囲を読み込み
Excel プロセス スコープ
Excel ファイルを使用

Yahoo乗換案内にて交通費を検索

ブラウザーを開く
繰り返し(データテーブルの各行)
文字を入力
クリック
ブラウザー使用
繰り返し (Excel の各行)
文字を入力
クリック
③ 最安値を取得しExcelファイルに書き出し テキストを取得
代入
範囲に書き込み
テキストを取得

 モダンデザインでは、使用するアクティビティの数も少なくなり、アクティビティの名称もより直感的に選ぶことができるように作られています。

 特徴的なのが、データテーブル型の概念を使用せずともExcelの表を扱うことができる点です。クラシックデザインはExcelファイルを読み込み、データテーブル型として保存してから繰り返しの処理をします。これに対して、モダンデザインはExcel自体の繰り返しが用意されていますので、範囲(シート名)を選ぶだけで各行の処理が可能です。Excelの読み込みだけでなく書き出しも同様で、データテーブルに取得した値を代入し、Excelファイルに書き込みする手順は必要なく、Excelファイル上のどの列に値を入れるか、を定義するだけで実装可能です。

まとめ

 モダンデザインはStudioで開発しますが、ややStudioXに近く、クラシックデザインより簡単な操作で開発できるという印象です。しかし、汎用性のあるワークフローを作りたい、複雑な処理を自動化したいという時は、やはりクラシックデザインを使用した方が可読性や保守性が高いワークフローを開発できるかと思います。CACではクラシックデザインを使用した開発規約やテンプレートをもとに、RPAの開発、さらには運用・保守やトレーニングをワンストップにサポートしています。是非、お気軽にお問い合わせください。

  今後、クラシックデザインよりモダンデザインが主流となっていくのかどうかは、引き続き状況を注視し、本コラムで皆さんにお伝えしていきます。また、モダンデザインで使えるオブジェクトリポジトリ機能についても、ご紹介できればと思いますのでご期待ください。

このコラムの執筆者

株式会社シーエーシー
アドバンスドテクノロジー本部
森永 和花

入社以来、RPAの開発・保守を担当しています。RPAが初めての方はもちろん、今、運用中のお悩みをお持ちのお客様と一緒に、RPAを着実に進めていけるよう、日々業務に取り組んでいます。

本記事のカテゴリ :RPA技術コラム

ジャンル:RPA開発UiPath

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