<AI-OCR×RPA連携>

高精度AI-OCRによるシームレスな業務自動化が経理業務を変える

高精度AI-OCRによるシームレスな業務自動化が経理業務を変える

AI-OCRは、AIの高度化に伴い徐々に進化しています。一方RPAは、企業における業務改善手段として定着、広がりを見せています。そのような背景を受け、AI-OCR×RPA連携による業務自動化/効率化ソリューションは新たな段階を迎えつつあります。一体どのような変化が訪れているのか?優れたAI-OCR向けAIエンジンを提供するファーストアカウンティング株式会社 春藤氏と、当社RPA事業責任者 平山が対談しました。

目的・課題

● 初期のOCRは識字率が低かった。そもそも経理部門の目的は「業務を自動化することで効率化を図る」であって「識字率」でさえなかった。

● 証憑のレイアウト変更時や、新しい証憑が追加された時の運用は煩雑である。こういった業務運用の負担もOCRの導入が浸透しない原因だった。

ソリューション

● 「経理特化型AI-OCR」とすることで経理分野における識字率を大幅に向上。また、新しい証憑レイアウトや、証憑レイアウトの変更に影響を受けないようにした。

● 経理業務のAs-Isを確認し、AI-OCRが何を担うのか、人はどこで介在すべきなのか、RPAは既存システムとAI-OCRをどうつなぐのかをトータルに設計。お客様の固有な経理業務をしっかり理解した上で、自動化・改善を提案。

期待効果

● 今後、施行される電子帳簿保存法に求められる複雑なチェック作業(写真の撮り方や、画素数などのチェック)、承認作業の多くを自動化。人手を増やすことなくスムーズに法改正に対応できる。

● AI-OCRやRPAにできる作業はシステムに任せてしまい、人は人にしかできない企画業務などに専念。経理部門の戦略性を高めることができる。

読み取り精度や柔軟性の低さがAI-OCR浸透の阻害要因になっていた

平山: こんにちは。シーエーシー (以下、CAC)のRPAサービス事業責任者の平山です。RPAの自動化候補の選定からワークフロー開発、さらに最近では自社内でRPAを開発されたいという企業向けの技術者育成サービスなどを担当しています。本日はよろしくお願いします。


春藤: こちらこそよろしくお願いします、ファーストアカウンディングの春藤です。AI によって経理にイノベーションを起こしたい、「これからの当たり前」を作っていきたいという想いで仕事をしています。私たちがお客様にどのような価値を提供できるのか、今日はそんなお話ができればと思っています。


平山: 早速ですが、AI-OCR×RPA連携による業務効率化はこれまで何度か話題になり、5年ほど前にもブームがありました。それにもかかわらずそれほど浸透しなかったのはどのような理由からだとお考えですか?


春藤: 当時はAI-OCRの読み取り精度(以下、識字率)がまだ70~80%程度で、あまり使い物にならなかったという点が1つ。また、当時は自社でAI-OCRの仕組みを開発しようとした企業も多かったのですが、苦労して1つの証憑を判読できるようにしても、その他の証憑は判読できません。大きな企業ほど取り扱う証憑の種類も多く、それらが変更されたり増えたりするたびに逐一対応する必要が生じます。永遠にイタチごっこになってしまうため、長続きしませんでした。


平山: 確かに、識字率が低く、細かく設定しなければ読み取りできず、これを「AI-OCR」と呼んでいいのか?というものも多くありましたね。また、RPAと併せて導入する場合、BPRなどを実行して全社的な業務フローを改善した方が効率化の効果は高いように見えますが、そうなるとそれに合わせた形で業務運用を変える必要が生じます。その辺りが現場の負担になっていたように感じたのですが、いかがでしょうか。


春藤: まずAIに「どこに何が書いてあるのか」を覚えさせる必要があります。しかし当時の技術では読み込む際に座標が少しでもずれてしまうとうまく認識できなかったので、きっちりと位置を指定して書類の端を揃えるなどしてスキャンする必要がありました。1枚目がずれると全てずれてしまうので、まとめてスキャンすることも難しかったと思います。一例だけを挙げましたが、例えばこのような業務運用上の負担もAI-OCRが浸透しきれなかった原因だったと思われます。

「経理特化型AI」として自律的に判断できるAIに成長

ファーストアカウンティング株式会社 春藤隼人

ファーストアカウンティング株式会社 春藤隼人

平山: 昨今、RPAの認知・活用が進む中で、次の段階として「紙を取り扱う業務も自動化・効率化したい」というニーズが高まっていると感じます。

紙情報を高精度でデータ化するにはAIの力が必要になりますが、AI-OCRとRPAとの連携を考える上で重要な要素が3点あると考えています。先ほどの春藤さんのお話とも関連しますが、1つ目は識字率が高いこと。2つ目がお客様が業務で使用している実際の証憑が使えるということ。3つ目が取り扱う証憑の種類が追加・変更になっても、逐一帳票定義や設定が不要であるということ、この3点です。ファーストアカウンティングが提供するAI-OCRエンジン「Robota(ロボタ)」は、識字率の高さと証憑の定義が不要なことが大きな特徴ですよね。


春藤: 当社のAIは、「経理特化型AI」として、領収書や請求書などの会計系の証憑に特化して学習させています。また専門のアノテーション(※)チームとAIのサイエンティストチームを抱えており、ひたすら会計証憑の読み取り精度向上を図っているところが一番の強みです。例えば正しく読めなかった証憑を集めてきて、それを基に学習をし続けることで、各企業の独自フォーマットであっても類似したものであれば正しく読めるようになります。そういった意味では、読めない証憑は精度向上のチャンスなので、読めない証憑が見つかるのはむしろ嬉しいことだったりします。このような学習と成長を繰り返すことで識字率が向上し、約3カ月に1回のシステムアップデートによって、すべてのお客様に常に最善の状態のAIをお使いいただくことができます。

※アノテーション:学習用の教師データを正しく意味付けするために情報タグ(メタデータ)を付与する作業

また、各項目を固定した位置座標で認識している訳ではないので、証憑が変わっても逐一座標を指定し直す必要がありません。項目名称や各項目の位置関係から「何がどこに書かれているか」を判断・認識する専用AIが別に存在しており、さまざまな値を正しく意味付けしながら証憑を読み取ることができます。


平山: 証憑のレイアウトは予告なく変更されることも少なくありません。また、法改正などに対応するため段階的に変えていかなければならないということも起こります。そのたびに手作業で証憑の定義をしていくのは現実的なやり方とは言えませんからね。実際の運用を見越して、少しぐらい証憑のレイアウトが変わっても影響を受けないような製品・ソリューションを選ばないとダメだということだと思います。

「AI-OCR×RPA連携」が経理業務全体を効率化させる

株式会社シーエーシー 新事業開発本部 ソリューションディレクター 平山智隆

株式会社シーエーシー 新事業開発本部 ソリューションディレクター 平山智隆

春藤: もう1つの識字率の件なのですが、先ほどお話ししたとおり専門チームによる集中的かつ継続的なAIの学習によって現在約95%まで向上させることができました。しかし、企業の経理担当者の方に「識字率を以前の70~80%から95%まで向上させました!」とお話ししても、実はあまり響かないんですよ。


平山: 95%でもですか。


春藤: そうなんです。なぜかと言うと経理部門の方は「識字率の高いOCRを導入したい」訳ではなくて、「業務を自動化することで効率化を図る」ことが目的だからです。従って、AI-OCRによる高精度の証憑読み取りだけではなく、その前後の処理も含めて経理ワークフロー全体をどう改善できるのかが重要になってきます。当社が提供するのはAI-OCRのエンジン部分なので、ワークフロー全体を改善するためにはどうしてもRPAとの連携が前提となります。そのような形のソリューションでないと経理担当者の方には、なかなか首を縦に振っていただけません。


平山: 高い識字率で読み取るだけでは、お客様の課題にお応えするのが難しくなってきたということですね。


春藤: はい。高精度で数値を読み込んだとしても、証憑としてその数値が正しくなければ、業務的には「正しい」とは言えません。簡単な例で言うと「合計値」を高い精度で読み取っても、そもそも、その合計の計算が間違っている場合は業務的に正しいとは言えません。 当社ソリューションでは、縦・横計のチェックや税抜金額と税額、合計金額をチェックする「確認AI」が別に存在しており、読み取り精度だけではなく、業務的な正確さを確保してから後続のRPAシステムなどと連携できるので、それで初めて経理ワークフロー全体の改善が可能になり、AI-OCRの価値をご納得いただくことが可能になります。


平山: なるほど。私もRPAの導入をお客様に提案する際、業務の状態As-Isを直接確認するようにしています。業務手順書のとおりにソフトウェアロボット化すれば、すぐにRPAが実現できるだろうと思われがちですが、どうしてもそこには表現しきれていない、人が介在して判断を下すような場面が少なからず存在します。実際にRPA化する際には、そういった部分もトータルに考慮して自動化対象にしなければ業務全体の効率化にはつながりません。

現在、AI-OCRの導入効果に疑問を持たれている経理ご担当者の方もおられるとは思いますが、RPAと組み合わせることで業務全体を自動化でき、それが効率化につながることをぜひ知っていただきたいと思います。



春藤: おっしゃるとおりですね。経理のワークフローは想像以上に多種多様で、各企業により大きく異なります。業務効率化を目的とした自動化では、しっかりと業務を理解した上で、対象範囲や実現方法を決める必要があります。CACは、お客様の業務内容をしっかりと理解した上で、どのような形の自動化が最適なのか、いつも一緒に考えていただけるのでとても心強いです。

自動化できる業務は<AI-OCR×RPA>に任せ、<人>はよりクリエイティブな業務に

自動化できる業務は<AI-OCR×RPA>に任せることで、<人>はより高度でクリエイティブな業務に集中できる

平山: AI-OCRとRPAの連携は、導入先企業の業務に合わせてさまざまなパターンが考えられると思います。具体的にどのような連携スキームがあるのか、代表的な例を挙げていただけますか。


春藤: 所属部署の上長が承認の際に確認しなければならない項目や内容は、日々増えています。例えば電子帳簿保存法(以下、電帳法)対応では発行日付や画像の画素数まで細かいチェック項目があり、承認する上長の作業負荷が非常に大きくなります。そのような場合に、電帳法に対応する画像・日付などを事前にAI-OCRとRPAのスキームでチェックしておくと、上長の方は金額や取引先など本来チェックすべき項目のみ確認すれば済むようになります。また経理部門でも、金額やその計算結果、日付や税率のチェック、さらに勘定項目もAIが過去の実績から推定して判断するので、ほぼ目検が不要になり、エラーで上がってくるもののみ確認すれば良くなります。


平山: 確かに、電帳法では証憑の画像データの解像度や写り方などがかなり細かく定められているので、人間が簡単にチェックできる内容じゃないなとつくづく感じていました。

そこでファーストアカウンディングのAIをうまく活用して、AI-OCRやRPAができる仕事、任せたほうがいい仕事は任せてしまい、人は人にしかできない業務に軸足を移していける。今はそんな選択肢があるということはぜひ知っておいてほしいなと思います。

また、領収書や請求書などの経理関連の証憑が「紙」の代表格ではあるのですが、世の中にはそれ以外の紙がたくさん溢れています。すべてとはいかないにしても、将来的には経理関連以外の紙に関しても、同等の精度で読み取りできるようになれば、AI-OCRとRPAが連携する範囲も拡がり、夢も広がりますよね。


春藤: そうですね。現時点ではまだ構想段階なのですが、当社のAI-OCRエンジンを他社様に貸し出してそこでさまざまな形態で自由にお使いいだくというようなことも考えています。それができればAI-OCRの活用範囲もさらに広がるのではと思います。


平山: AI-OCRやRPAは導入・活用事例が増えており、従来よりも随分と身近なテクノロジーになってきています。また、全社的なBPRによる業務改善が難しい場合でも、ボトムアップ型の現実的な業務改善手法として有効です。今後さらにファーストアカウンティングとの連携を進め、自動化による業務改善や企業のDX化に貢献していければと考えています。春藤さん、ぜひ、一緒に進めていきましょう。


春藤: 同感です。一緒に経理業務の自動化、DX化を進めていきましょう。

AI-OCR×RPA連携で「紙」の業務にまつわる多くの課題を解決できるようになりました。経理・財務部門のみなさま、「紙」の業務の効率化・自動化に課題をお持ちであれば、CACまでご相談ください。

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