RPAソフトウェアのポジショニングを改めておさらい
目次
毎年7月、ガートナー社から「マジック・クアドラント RPAソフトウェア部門」のレポートが発表されます。おそらく今年も発表になると思いますが、その前に、2021年と2020年のマジック・クアドラントを見ながら、いまのRPAソフトウェアのポジショニングをおさらいしておこうと思います。
ガートナー社のマジック・クアドラントは、横軸にプロダクトビジョンの完全性や一貫性(Completeness of Vision)、縦軸にそのビジョンの実現能力(Ability of Execute)をとり、4つの象限でプレイヤのポジショニングを整理するものです。
右上の「リーダー」象限は文字通り、RPAのリーダー的存在でビジョンも実現能力も兼ね備えているプレイヤ。右下の「ビジョナリ」は、優れたビジョンを提案しているプレイヤで、今後のRPAの動向を見る際はこの象限も要チェックです。左上の「チャレンジャ」は技術やマーケティングに優れており、シェアを伸ばす潜在力を秘めているプレイヤと言えます。左下の「ニッチプレイヤ」は業界・地域・顧客規模など、特定の顧客セグメントで優位なプレイヤです。 2020年、2021年のマジック・クアドラントは、UiPathやAutomation Anywhereのサイトで見ることができます。
2021年(UiPathサイト , Automation Anywhereサイト)|2020年(UiPathサイト)
注目したいポイント
注目したいポイントは次の6つ。
リーダーはUiPath、Automation Anywhere、BluePrism
UiPath、Automation Anywhere、BluePrismの3社は2020年、2021年通して4象限の右上、ビジョンも実現能力もあるリーダーとみなされています。ただしこの象限も穏やかではなく、2021年Microsoftがリーダーに加わったり、2022年3月にはBluePrismがSS&C Technologiesに買収されたり、といった変化が見られます。
ビジョナリからリーダーへポジショニングが変わったマイクロソフト
2020年はビジョナリだったMicrosoftがリーダーへとポジショニングを変えています。位置関係から見れば実現能力が高まったということになりますが、Windows10/11ユーザであればPower Automate for desktopを無償で使え、ユーザベースが大きいことが実現能力の高さと評価されたのだと思います。
企業のDX化ニーズは開発バックログを増やしているので、身の回りの効率化は現場に任せてしまいたいと考える情報システム部門と、開発リードタイムを待つことなく、できることは自分でやってしまいたいデジタルリテラシーの高い現場、両方にとってちょうど良いツールとも言えます。
リーダーからビジョナリへポジショニングが変わったWorkFusion
こちらは逆にリーダーからビジョナリへポジショニングを変えています。ロボットに名前を付けて運用しているというお客様は多いですが、WorkFusionでもロボットをデジタルワークフォースとして位置づけ名前を付けています。レビューの確認などメディアスクーリングが得意なEvelyn、不正チェックなど取引スクリーニングのTara、カスタマサービスのCasey、eKYCを担当するKendrickなど6人の擬人化したサービスがあります。
2021年にマジック・クアドラントに追加されたプレイヤ
RPAツールのWDG AutomationやタスクマイニングツールのmyInvenioを買収したIBM、RPAとローコードを1つのプラットフォームに載せたAppian、イスラエルのRPAツールKryon、そのKryonを買収したNintex、中国のRPAツールCyclone Roboticsが新たに追加されています。
2021年にマジック・アドラントから姿を消したプレイヤ
Kofax、Antworks、Jacade(Uniphoreが買収)、Helpsystemsはマジック・クアドラントから姿を消しています。マジック・クアドラントにないから悪いというわけではない点はご注意ください。
ポジショニングに変化のなかったプレイヤ
ビジョナリに位置付けられるPegasystemsとServicetrace、チャレンジャのNICEとEdgeVerve Systems、ニッチプレイヤのSamsung SDS、SAP、NTT(WinActor)は2020年、2021年を通して同じポジショニングでした。
まとめ
業務改善や自動化へのニーズは今後も続きますし、AIの進歩など技術的な伸びしろを考えると、いまのRPAプレイヤもまだまだ進化するでしょうし、新たなプレイヤも登場してくるでしょう。CACでは国内シェアの高いUiPath、WinActorを主に扱っていますが、他のRPAツールの動向ウォッチや評価も行っています。
これからRPAツールを選ぼうとお考えのユーザ様、いま使っているRPAツールでいいのか不安を感じているユーザ様は、当社までお問い合わせ下さい。
本記事のカテゴリ :RPA技術コラム
関連記事
PickUP
本記事に関連するCACのサービスやお役立ち情報をご紹介します。