UiPath新機能!Healing Agentのご紹介
目次
はじめに
UiPathの新機能である「Healing Agent」のプレビュー版がリリースされました。
「Healing Agent」とは実行中のエラーを自動で特定し自己修復を行ってくれる機能です。本記事では機能概要と設定方法、また注意点などをご紹介していきます。
プレビュー期間は4月末までとなっておりますのでぜひ皆さんも試してみましょう!
機能概要
Healing Agentが原因特定および修復できるエラーはおもに5パターンです。
- セレクターの動的変化
セレクターが変更になっていた場合はその変化を検出し、変更に対応する新しいセレクターを見つけ出します。 - 意図しないUI要素
意図していないポップアップなどが原因のエラーが発生した場合は、そのポップアップを自動で閉じます。 - 要素が出現するまでの想定外の待ち時間
想定より長い待ち時間が原因でエラーが発生した場合は、足りない分の待機時間を自動で追加します。 - 画面配置の変化
操作したいUIの表示位置が変更になっていてもターゲットとアンカーの関連を認識し正しいUI認識を提供します。 - ラベルの変更
ボタンの表示ラベル名が変更されていた場合、文字列は変化しても用途や意味合いが同等であると確認できれば変更に対応します。
利用前提
Healing Agentを使用するためには以下の条件を満たしている必要があります。
・Orchestrator:Automation Cloudであること(オンプレミスでは動作しません)
・Studio:Enterprise version 2025.0.157以降
・Robot:24.10以降 (Insightsを利用する場合は2025.0.161以降)
・UI Automationパッケージ:25.2.1-preview
・OS:Windowsもしくはクロスプラットフォームプロジェクトのみ
※クラシックアクティビティには対応していません
設定方法
Healing AgentはOrchestratorで設定をします。
Orchestrator>プロセス>追加>Healing Agentを有効化できます。
※既存プロセスの場合はOrchestrator>プロセス>編集 から同様に有効化することができます。
※Studio、StudioXの作成元問わずどちらのプロセスでも有効化することができます。
動作時の検知方法
Orchestrator>ログから確認することができます。
エラーが発生してHealing Agentが動作した際のみHealing Agentタブが出現し、修正の提案や自己修復が行われた際の画面を確認することができます。
新機能への所感
良い点
Orchestrator実行時にエラーの分析(修復方法の提案)をしてくれる |
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修正結果を適用して実行を進められるため、エラー低減が見込める、成功率が高まる |
環境によってはエラー修復が有効に機能し、ROI(投資対効果)が高い |
エラーログの詳細を取得し、原因特定がしやすいため保守担当者の負荷軽減が見込める |
UI要素の認識精度が高く、複雑な操作も自動化しやすくなる |
懸念点
Orchestrator実行でのみ機能し、Studioからは機能しないためシミュレーションができない |
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ワークフローそのものを修正するわけではない |
100%のエラーを修正できるわけではなく、環境に依存する |
意図しない動作をする可能性がある |
大規模なフローでは動作が重くなることがある |
注意点
自己修復されたエラーはすぐに改修をするのがおすすめ!
エラーの原因特定は無償ですが、修復は従量課金制です。
「Healing Agentの自己修復を有効化」項目に☑を入れているとエラーのたびに課金されてしまいます。
※ライセンス情報は4月公開予定
※プレビュー版では修復も無償
ワークフローの修復は人手作業
エラーが発生した際は修復して処理が成功しますが、ワークフローを直接修正するわけではないため、人手で修復を行わない限り、実行のたびにエラーの自己修復が行われます。
Studioでは使えない
前述の通りStudioからの実行では機能しないためOrchestrator(もしくはAssistant)からの実行が必要となります。
繰り返し処理内で機能するとパフォーマンス低下につながる
繰り返し内でエラーが発生すると実行のたびにエラーの自己修復が行われるため、実行時間が極端に長くなるなどパフォーマンス低下につながります。
トライキャッチの挙動の違い
「Healing Agentの自己修復を有効化」項目に☑を入れていない場合は、自己修復が動作しないためエラーとしてキャッチされます。
☑を入れていた場合は、自己修復が行われるためエラーはキャッチされず正常終了としてみなされます。挙動が異なるので、注意が必要です。
このように注意すべきことが多いので、皆さんもまずは簡単なワークフローから試してみることをお勧めします。
最後に
今回は「Healing Agent」の機能概要と設定方法、また注意点などをご紹介しました。
この機能の恩恵を受けられるプロセスを見極めてうまく活用できれば、よりエラーに対応する時間を短縮できることが期待できますし、保守の負荷も軽減できます。また、市民開発を導入されている現場ではより、ハードルが下がるのではないでしょうか。
実際の検証例などは次の機会にご紹介させていただきます。
CACではこうした新機能を取り入れながらUiPathの開発や保守を行っています。
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