お客様向けサービスとして「CAC RPAワンストップサービス」を提供する当社は、自社内でもRPAツールに積極的に取り組んでいます。
RPAを活用し、定型業務をRPA化することによって、一部の事務作業が自動化され、社員の業務量削減・業務自動化に成功しました。
今回はそのRPAツールの活用事例をご紹介したいと思います。
なぜ、どのような経緯でそのような取り組みを始めたのか、また、導入後に、定型業務の事務処理がどのくらい削減されたのか、本当に業務効率化になったのか、そしてRPA推進における課題はどのようなものか、実際に取り組みを進めた弊社管理部門の人事部の宮崎弦一、中村小雪、下山隆の3名に話を聞きました。
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- 経営統括本部 人事部
- 中村小雪 / 宮崎弦一 / 下山隆(左から)
目的・課題 | ● 会社方針として業務効率化の取り組みが叫ばれるようになり、RPAが選択肢にあがった。 ● さまざまな業務の中で、何を効率化させるべきかから検討が始まったが、まずはルーチン業務改善の優先度が高いと判断し、RPAを本格活用することを決定した。 |
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ソリューション | ● 開発スキルを持つメンバーが人事部内、身近にいたことで、エンドユーザーコンピューティング色の強いRPAの活用がスムーズに進んだ。 ● RPAは、業務に近いところで自社開発・内製化することで大きな成果を得られるという好例である。(CACではお客様のRPA自社開発・内製化を実現する研修・トレーニングを提供しています) |
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改善効果 | ● 業務によって差はあるものの、2時間かかっていた業務が5分で終わる、1カ月のべ18時間要していた業務が3時間に短縮されるなど効率化の効果が見られている。 ● 効率化に加え、RPAに任せることで業務の正確さが担保され、「給与データの間違いは絶対に許されない」といったストレスから社員を解放できたことも効果として大きい。 |
RPAを人事部に導入する背景
部内の動きと会社方針が合致しRPA活用が加速
「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」を企業理念とする当社株式会社シーエーシー(以下、CAC)は、CACグループの中核企業として、さまざまな先進的かつイノベーティブな製品・サービスを提供することでお客様の競争力強化に貢献しています。RPAの導入から運用までをトータルでサポートし、その導入効果を最大化する「CAC RPAワンストップサービス」もそのようなサービスの1つ。当社では自社内においてもRPA導入を推進しており、その中心的な役割を果たしているのが『人事部』です。
RPAを人事部に導入する経緯
手探り状態から始め、現在70本のソフトウェアロボットが稼働
開発スキルを持つメンバーが揃っているとはいえ、RPAの知識を始めから持っている訳ではありませんでした。
「最初は、何をどうやればできるのかまったくの手探り状態で、Excelファイルの開き方から調べる必要がありました。」(下山)
下山が、さまざまな試行錯誤を繰り返して得たノウハウを部内で共有することが、人事部内でのRPA本格活用のファーストステップとなりました。最初の本格的なソフトウェアロボットは、「法定休日出勤手当チェック」ロボット。事前申請が必要な同手当の事前申請状況と勤怠情報、そして事後の本人からの手当支給申請情報を突き合わせチェックを行います。事前申請状況と勤怠は社内の勤怠システムに情報があり、支給申請情報は、紙で申請された情報をExcel表に入力します。社内専用システムとExcelを跨ぐ、典型的なアプリケーション間のデータ突き合わせ処理で、RPA向きのルーチン業務だったと言えます。
その後、社員約1,000人分の通勤時間を一斉に調査するための業務ロボットや、全社員の経費精算時の事務作業負荷を軽減する「経費精算効率化」ロボットなどをリリース。現在人事部では約70にも上る業務ロボットが稼働しています。
RPAを人事部に導入した効果
個人情報を扱う人事部では「工数削減」効果に加えて「便利さ」や「正確性」にも着目
通常、RPAの導入効果としてまず着目されるのは「工数削減」です。
定型作業が多い人事部では、RPAを導入することによりルーチン業務が省かれ、目に見える工数削減が実現しています。
定型作業をRPAが行うことで、人が行わなければならない「企画業務」などに時間をかけることも可能になります。
「人事部では対象業務ごとにロボット稼働前後の工数差分を取っていますが、実際に2時間必要だったものが5分になったり、30~40分かかっていた処理が5分で終わったりするなどの効果が現れています。対象業務全体で1カ月18時間程度要していたものが導入後は3時間程度に収まっており、月間で約15時間、83%の工数削減効果が出ています。」(宮﨑)
工数削減効果のみに目を奪われがちなRPAですが、これまで実際に導入を進めてきた人事部では「便利さ」や「正確性」に対する効果も大きいと考えています。
「人件費の精算」や「個人情報の管理」などミスが出やすいにもかかわらず、正確性が要求される人事の業務もRPAで正確に行うことが出来ます。
「早さよりもむしろ便利さの方が勝っているのでは、と思うこともあります。例えば毎日、毎月同じ処理を繰り返し行うことは想像以上にストレスです。他にやらなければならない業務も溜まっています。
そのようなルーチン業務をRPAに任せることができれば、すごく気持ちが楽になりますし、さらに今まで以上に正確に業務をこなすことができるようになるので言うことありません。」(中村)
人事部でRPAを成功するポイント
現場での動機づけ、システム支援が成功のポイント
RPAを適用する業務の選定は、工数負荷が大きいものや、負荷軽減効果の見込みが高い業務、また、即効性のある業務が優先される傾向にあります。しかし人事部では少し違った見方も必要だと考えています。
「精神的にきついと感じている、例えば給与計算などの業務から着手することで、導入効果をより強く体感することができます。常に高い正確さを求められ、気を使う業務は日頃から大きなストレスとなります。
それを自動化することで『あ、RPAでこんなに楽になるんだ』というのが肌で感じられ、RPA推進の強い動機づけになります。」(下山)
エンドユーザーコンピューティング的性格を持つRPAは、現場主導で進めた方が推進力が高まります。しかし、そこで課題となるのが、実際に業務ロボットの作成に必要な知識を現場スタッフが持っているとは限らないという点です。「人事部では、業務ロボット作成ができる人が身近にいてくれたのですごく心強かった。しかし全ての部門で、必ずしもそのような状況にはありません。自分で作成するとしても、そこに時間を割くことが難しい。その結果、結局いつものように手作業でやってしまう、という堂々巡りが起こってしまいます。」(中村)
「エンドユーザー部門にシステム寄りの人間をある程度配置するなど、会社が人的コストをどれだけ掛けることができるのかが、成功のための1つのポイントとなるでしょう。」(宮﨑)
今後の展開
適用業務拡大とロボットのライブラリー化を目指す
各部門の中でも率先してRPA導入を推進してきた人事部。これからも、退職金支払い処理をはじめとしてさらに多くの業務に適用していく予定です。「RPA活用のネタは無限に転がっている」というのが基本的なスタンス。適用範囲を拡大してより効率化や合理化を進めるために、実現したいと考えているのが、ソフトウェアロボットのライブラリー化です。
「逐一スクラッチ&ビルドでの作成はそれなりに大きな工数が掛かります。人事部内ではある程度ロボットをパーツ化したライブラリーを作成して再利用を進めているのですが、それをさらに発展させて全社共通のライブラリーを充実させることができれば、開発工数が相当に短縮できるのでは、と考えています。」(宮﨑)
全社共通ライブラリー化が実現できれば、開発工数がネックになっている部門でのRPA導入の推進力の1つとなることは間違いありません。また、CACでは、社内でのRPA運用においても日々挑戦と試行錯誤を繰り返すことで、運用のレベルアップにも努めています。これらから得られる成功ノウハウは、社内で閉じず、「RPAワンストップサービス」を通じて、お客様にも積極的に還元していきたいと考えています。
CAC人事部のRPAの取り組み、そして、お客様向けサービスの「RPAワンストップサービス」の今後の躍進に、是非、ご期待ください。
企業情報
社名 | 株式会社シーエーシー |
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本社所在地 | 東京都中央区日本橋箱崎町24番1号 |
設立 | 2014年4月1日 |
代表者 | 代表取締役社長 西森 良太 |
資本金 | 4億円 |
売上高 | 20,414百万円(2018年12月期) |
社員数 | 938名(2018年12月31日現在) |
主要事業品目 | システム構築サービス システム運用管理サービス BPOサービス |
「元々、私の前任者が『面白そうなツールがある』と引っ張ってきたのがそもそもの人事部におけるRPA導入のきっかけです。ちょうどその頃、会社全体の方針としても業務効率化の取り組みが叫ばれるようになり、全社的にさまざまなツールの導入なども進み始めました。
管理部の人事部内のRPA導入の動きと会社の業務効率化の方針が重なったことで、部内でのRPA導入が加速しました。」(宮﨑)
また、宮﨑や下山などの開発スキルを持つメンバーが部内の身近なところに居たということも、エンドユーザーコンピューティング色の強いRPAの活用を後押しすることになりました。