人が手動でおこなう作業を、ロボットが自動的に実行していくソフトウェアである「RPA」。人手不足の解消へ向けた一手として、医療業界でもますます活用が期待されている。
しかし、利便性の高い仕組みであることはなんとなく理解できるものの、その実用性を想像するには知見やノウハウが足りないのが現状だ。院内に取り入れようにも、具体的な導入手順を知る人材が在籍していることは稀だろう。
そのような状況を打破するため、ソフトウェア会社の「CAC」が独自におこなっているのが「RPA研修 自社開発イネーブルメントプログラム」だ。伴走型の講師とともに、実践・レビュー・修正の3段階を繰り返し、RPA開発スキルをもつ職員の育成を図ることが主な目的の研修プログラムである。
今回6ヶ月に及ぶ研修を導入したのは、長野県茅野市に位置する総合病院の「組合立諏訪中央病院」だ。訪問看護や往診など積極的に実施し、まさに地域密着型の運営をおこなっている。

そもそも同病院の「RPA」導入理由は、煩雑化していく事務作業に必要なマンパワーを補うべく、人的な作業の省力化を実現するためだ。
そのほか、職員に本質的な問題を気付かせるツールとしての活用も狙う。たとえば「紙から電子へ移行する」よりも「電子化の先にRPA実現が待っている」のように、業務負担の減る未来を明確に意識させることが、いまの環境には必要だとしている。
また、CACの「RPA研修 自社開発イネーブルメントプログラム」を選ぶ決め手になったのは、”一方通行ではない”講義スタイルだという。課題への挑戦を軸に細かなフォローを受けられる形式であれば、実践的なスキルを習得できると考えた。
さらに、近隣病院からの好意的な評価を聞いたことも導入理由の一つ。「現在も継続的なサポートを受けている」「肝心の研修内容が丁寧でわかりやすい」などの声は、受講の決断に至るには十分だった。実際に「RPA研修 自社開発イネーブルメントプログラム」を受講する前と後では、一体どのような変化があったのだろうか。研修を終えた受講生5名のうち3名に話を聞いた。

「受動的ではいられない」自主性を重んじる研修内容

受講前に不安だったことはありますか?受講してみて感じたギャップはありますか?

宮坂 真輝氏:ある程度の予算を割いているであろうプロジェクトなので「きちんとした成果を出さなければならない」とプレッシャーを感じていたのが本音です。ただ実際には、そのような不安を感じている時間もないほど、実践的で高度な研修内容だったと感じています。

とにかく出されていくさまざまな課題を解決するためには、みずから頭を巡らせていかなくてはいけません。受け身では到底終われないことから、知識とノウハウを自然と身に付けていくことができました。

藤澤 みどり氏:私も同じで、RPAの存在すら知らない知識レベルでのスタートでした。今回5人で一斉に学んでいくなかで「自分だけ取り残されてしまうのでは?」という不安もよぎったのは、当時の正直な感想といえますね。

ただ、その仲間の存在があったからこそ、研修を乗り越えられたことは間違いありません。RPAは、実現したい作業をプログラムに当てはめていく過程で、ある程度の発想力が求められるものだと思っています。そのようななか、受講者同士で話し合いながら解決の糸口を見つけていけたのは、学習の効率化に大きく貢献してくれたと感じています。

経営企画課 企画財政係 宮坂真輝氏

研修を通して、一番印象に残っていることがあれば教えてください。

宮坂 真輝氏:自分にない発想の取り込みに成功したときの、限界値が上昇していく感覚が印象に残っています。

研修では、プロジェクトの構成要素である「アクティビティ」をいかに組み上げるかが肝でした。講師の方による実演時に「そんな方法があったのか」と気付きを得られるのは、伴走型の研修ならではだと感じましたね。

学習をするなかで、独学で進められた部分はありましたか?

柿澤 直貴氏:基本的に、課題へ対して試行錯誤をしていくことが大切なこの研修では、常に知らないワードと隣合わせです。

まずはインターネットを駆使して検索し、仮説を立てたうえで実践する流れを繰り返していました。とはいえそれらの行動は、どうしてもわからなければ講師へ聞いたり、実際にレビューを受けて真偽を確かめたりできることが前提です。独学で進めていくのは、なかなか厳しい部分があると思っています。

経営企画課 広報調整係 柿澤直貴氏

業務とプログラム受講は、どのようにして両立をしましたか?

宮坂 真輝氏:私が担当している経理業務は、忙しさの波があります。業務が差し迫ったタイミングで研修の時間を捻出する必要のあるときは、正直大変だなと感じることはありました。ただ「この2時間だけは課題をおこなう」と事前にスケジュールを決めつつ、できるだけ受講者同士で集まって作業をすることで、業務への支障なく研修を終えられたと感じています。

「新たな選択肢がうまれた」電子化へ向け一歩を踏み出す

今回、どのような経緯でみなさまが受講生に選定されたのでしょうか?

藤澤 みどり氏:RPAを積極的に推進していく方針のなか、ある程度実務を積んだ中堅職員を中心にセレクトしたと聞いています。実際に顔合わせをしたときは、年齢層が近い人が多かったため安心しました。まったく未知の状態からスタートするこの研修の場合、気兼ねなくコミュニケーションが取れるメンバー構成にした方が、より高い成果を出しやすいかもしれません。

庶務人事課 庶務係 藤澤みどり氏

今回の研修実施にあたり、部署からの理解や協力が得られないなどの問題はありましたか?

宮坂 真輝氏:上席が事前にアナウンスしてくれていたため、まったく問題ありませんでした。研修の必要性まで理解を得られた状態だったので、受講中も嫌な顔をされることなく過ごせたのは良かったです。これからもっと業務効率化への意識が院内に浸透すれば、ますます今後のRPA推進活動がしやすくなるのではと感じました。

研修を受けるなかで、改善した方が良いと感じた点があれば教えてください。

藤澤 みどり氏:講義の割合がもう少し多くても良かったかもしれません。学校の授業のように、最初に講義を通して内容を理解してから問題を解く、といったスタイルが自分には合っていると感じました。ただ、自分なりの答えを絞り出しつつ、都度アドバイスを受けられるメリットも感じることができました。おかげで、スムーズに知見を吸収できている実感が常にありました。みずから試行錯誤する部分が多く、チームの力を結集してどうにか形にしていくことができました。

柿澤 直貴氏:研修中に必要な用語が網羅されている「教科書」が一冊あると良かったなと思います。インターネットの情報は真偽も不明なので、知識習得に活用できるツールがあるとより安心だったかもしれません。

とはいえ、結果的には問題なく研修を終えられています。伴走型であるとともに、みずから実践を繰り返していく領域が広いこのカリキュラムは、スムーズなRPA推進において有用だと感じました。

受講後は、どのような未来の姿を描けるようになりましたか?

藤澤 みどり氏:RPAは、これから業務をおこなっていくうえで「選択肢の一つにできる」と感じました。

事務作業のなかには、自分で考えていく必要のあるものや、ある程度ルーチンワーク化したものなど、さまざまな種類の仕事があります。それぞれの業務の特性をとらえ、より効率化を考えていくなか、「RPAを使えば解決できるのでは?」という考えが自分のなかにプラスされたことは、今回の研修で一番の収穫です。

実際の研修でも、年間で必ず実施する業務にRPAを導入すれば、作業負荷の軽減が可能な見込みを得られています。

宮坂 真輝氏:まずは院内の電子化を進めていかなければ、効率の良いRPAの利用ができないという考えに至れたのは、私のなかで大きな成果です。今回の研修で、RPAの活用により、請求書を作成する業務の効率化が図れるなど”未来の自分が楽になるビジョン”が見えてきました。

従来の事務作業の方法を変えていくのは、決して簡単なことではありません。しかし、その先にある業務の効率化を目指し、電子化を急いでいくべきだと感じられるようになりました。

組合立諏訪中央病院は、RPA本格導入に向けた次のステップとして、RPA推進における組織化を検討中です。CACは今後も伴走型サポートを通して、共に課題を解消できるようなご支援を続けて参ります。

今回、組合立諏訪中央病院が受講したプログラムは、習得目標レベルが初級、UiPathのデザインはモダン版の内容でした。
また、期間は通常の3カ月のところ6カ月とし、受講者様が業務の傍らで無理なく着実に習得していけるよう曜日や時間帯を考慮したカリキュラムが作成されました。
開催形式については、プログラムの最初に実施される1日研修(UiPath One-dayトレーニング)はオンサイト、実践(開発工程学習)はオンラインと、CACによる現地サポートとリモートサポートが組み合わされ、また1日研修においては講師補佐が加わり、講師の解説やテキストの内容に追いつけない状況でフォローアップできる体制が組まれました。
このように、カリキュラムのレベルや内容、期間、開催形式/体制をご要望に応じて柔軟にカスタマイズできるのが「RPA研修 自社開発イネーブルメントプログラム」の特長です。

「研修導入時のイメージが湧かない」「ほかのサービスとの比較をおこないたい」方へ向けて「RPA研修 自社開発イネーブルメントプログラム」がどのように進んでいくかを知るためのガイド資料を用意しました。

> 「RPA自社開発イネーブルメントプログラムガイド」

組合立諏訪中央病院様、本日はお忙しい中、貴重なお話を有難うございました。